妊婦検診で必須項目になっていし、医者の多くも事前に積極的に説明してくれずに怖いのが「先天性トキソプラズマ症」です。あまり知られていませんが、先天性トキソプラズマ感染症の出生数は、年間130~1300人と推計されており、決して少なくありません。母子手帳を貰えば後ろの方に書いていますが、母子手帳は3ヶ月目くらいでもらうので、予防が間に合わないこともあります。

トキソプラズマ原虫に感染したレアステーキ、ユッケ、馬刺、牛刺、鳥刺、レバ刺、鹿刺などを食べたり、猫などの動物の排泄物を触ったり、土の中などにも存在するので土いじりをしたいり、身近な微生物ですが、人体にも感染します。海外渡航経験のある人は、海外ではよく食べられるラム肉は、火が通っていてもかかることがあります。また、日本のブランド牛などであれば大概出荷前に検査をしてはじいているので、問題ないことも多いですが、日本で畜産している牛の0.6%がトキソプラズマを持っているという報告もあります。

母体は感染しても症状がないことも多いのですが、胎盤を数ヶ月通じて胎児に感染すると赤ちゃんの脳に影響し、「先天性トキソプラズマ症」を発症し、生後時間が経ってから低視力などの障害が生じたり、 脳が大きく膨らんだりし、重症の場合は流産や死産に至ることもあります。

妊娠前に感染し、抗体ができている場合は特に問題はありませんが、妊娠中に初めてトキソプラズマに感染した場合は、約30%で胎盤を通して胎児に感染 します。さらに胎児に感染して先天性トキソプラズマ症を 発症する確率は15%程度と考えられています。

「先天性トキソプラズマ症」を発症した赤ちゃんの症状はどうなる❔

「先天性トキソプラズマ症」を発症すると、視力低下、網脈絡膜炎、未熟児、子宮内胎児発育不全、黄疸,肝脾腫、心筋炎、肺炎、発疹、水頭症、頭蓋内石灰化、小頭症、痙攣、精神運動障害、リンパ節腫脹、 肝機能障害、遅発性障害などが見られ、死産や生後まもなく亡くなることがありますし、神経系および眼の続発症は,数十年遅れて現れることもあります。

「先天性トキソプラズマ症」の診断方法は❔

無症状であっても、産婦人科で1000円〜4000ほどの実費の血液検査で初期判断ができ、抗体の有無を見ることができます。クリニックによって値段に幅があるので要確認です。

トキソプラズマ抗体検査の一次検査は、血液検査(真空採血量9mL)でトキソプラズマ IgG抗体を見て、0.8未満の陰性であればかかったことがないので「陰性」、それ以降も慎重に健全な食生活などを続けて行きましょう。

1.0以上の陽性であれば、どの時期にかかったのかIgGアビディティ測定をし、胎児への感染が疑われる場合は、ピリメタミン、スルファジアジン、ロイコボリンなどの抗生物質を服薬することで、赤ちゃんのトキソプラ ズマ症の重症化リスクを7分の1ほどに下げることができます。判明は早い方がよく、できるだけ早めに投薬を開始した方が効果があります。猫を飼っている方は特に、積極的に検査をした方が良いかも知れません。

妊娠初期の感染の方が、胎児の症状が高くなりますが、感染のしやすさは妊娠後期の方が高いです。妊娠期間10ヶ月を通じて、リスクはありますので慎重に妊婦生活を送りましょう。

「先天性トキソプラズマ症」に感染しないために気をつけること

猫や猫の糞を素手で触らない、土いじりはなるべくせず、マスクなどを着用する、生野菜はよく洗う、なま肉は食べない、生肉を切った包丁で野菜をカットしない、できるだけ抗体検査を受ける。

肉のトキソプラズマは、高温と低温で死ぬので、67℃以上の煮るか焼いて火を通す、または低温殺菌で肉を−20℃で8時間以上冷凍するとトキソプラズマは死滅します。 

以上を守り、健康な妊婦生活をおくって行きましょう。

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