貧血用の鉄剤 クエン酸第一鉄(非ヘム鉄)

妊婦の貧血は全身の酸素不足によりふらついたり、脈が早くなり立てなくなる症状や、疲労を感じたり、軽度の呼吸困難を生じることもあり、早産の原因にもなります。妊婦の貧血は鉄欠乏性貧血といわれ、立ち仕事をしている妊婦さんは、突然倒れることもあり危険です。

妊娠中は、非妊娠時の時の3〜4倍の鉄を必要としていますので、なかなか食事だけで賄うのは難しい方も多いでしょう。妊婦さんの3分の1以上の方に貧血の症状が見られますが、補助食材や投薬で改善することが多いです。つわりが酷くて錠剤も飲むことが困難な妊婦さんは、経静脈から点滴などで補給できます。

妊婦に必要な鉄分の量は、妊娠初期 8.5~9.0mg/日、妊娠中期-後期17.5.~21.5mg/日(1週間に100mg程度)、授乳婦は8.5~9.0mg/日程度が推奨されています。特に妊娠5ヶ月あたりから貧血になる妊婦さんが多いのではないでしょうか。

妊婦健診では、妊娠初期、中期、後期の間に2、 3 回、血液検査をし、 Hb 値、Ht 値、白血球数などを調べますので、ヘモグロビンが11.0g/dl以下で、Hb 値が低い妊婦さんは、症状がなくても数値で見ることもできます。

食品で取れる鉄分

できるだけ食事でも鉄分を摂取できるようにした方が良いですね。食品では、牛肉などの赤肉、レバー、牡蠣 (火を通したもの)、大豆、インゲン豆、木綿豆腐、ほうれん草、切り干し大根、小松菜 、ひじき、あさり、しじみなどが多く含まれています。鉄製のフライパンで料理をすることもおすすめです。

果実や緑色野菜に含まれるビタミンCは鉄の吸収をよくするので、一緒に摂取すると良いでしょう。ビタミンCを多く含む食材は、じゃがいも、ピーマン、ゆずやオレンジなどの果物です。

また、赤血球がを作る際に、葉酸やビタミンB12が必要です。いちご、ほうれん草、アスパラガス、ブロッコリー、納豆などから葉酸をとり、レバー・魚介類・チーズなどからビタミンB12を一緒に摂取しましょう。
逆に、コーヒー、赤ワイン、日本茶、紅茶、などに含まれるタンニンは、同じ時間に摂取すると鉄の吸収が妨げられますので、時間をずらして飲むか、飲む量は控えましょう。

70%以上の多くの妊婦さんは、鉄欠乏性貧血ですが、鉄の摂取で貧血が改善しない場合は、葉酸欠乏性貧血が疑われます。

サプリメントでよく見る「ヘム鉄」とクエン酸第一鉄や野菜に含まれる「非ヘム鉄」との違いは❔

「ヘム鉄」は動物性食品に多く、レバー、赤身の肉、魚の血合いなどに多く含まれます。非ヘム鉄より吸収が5~6倍よく、胃腸にやさしく、サプリメントでは黒い色がついていることが多いです。「ヘム鉄」に葉酸を加えたサプリメントも多く売られています。

「非ヘム鉄」は植物性食品に多く、野菜、大豆、卵などに含まれます。ビタミンCやたんぱく質と一緒にとることで吸収率がよくなりますが、胃腸に負担がかかるので胃腸薬と一緒に処方されることが多いです。非ヘム鉄の代表的なものは、画像にあるとおり、クエン酸第一鉄やフマル酸第一鉄、溶性ピロリン酸第二鉄などがあり、ジェネリック医薬品でも販売されています。ヘム鉄の錠剤とは違い、白い色をしていることが殆どです。

非ヘム鉄は重い副作用は見られないものの、時として発疹、かゆみ、光線過敏症、吐き気、嘔吐、上腹部不快感、胸やけ、下痢、めまいなどが報告されています。

ヘム鉄」も「非ヘム鉄」多量摂取は良くありませんので、医師の薬剤師の案内に従って摂取しましょう。

クエン酸第一鉄ナトリウム鉄50mg錠

産婦人科でよく処方されている鉄剤の一つです。50mgなので多いと感じる方も多いですが、全てが吸収されるわけではありませんので、1日2錠を推奨していることが多いのではないでしょうか。まずは1日1錠から試してみて、体調が良くなるのであればそのまま様子を見ても良いかもしれません。

鉄を取ることで便秘になる方も多いですので、朝と夜にクエン酸第一鉄ナトリウム鉄(フェロミア)などをとり、お昼に酸化マグネシウムを飲むなど、時間をずらすと良いかもしれません。

鉄のサプリメント

サプリメントは、飲むドリンクなどもありますが、入っている鉄分は1日に必要な摂取量に満たないことが多いので、撮る場合は他の鉄の多い食品や錠剤と組みあわせることもおすすめです。ドリンクタイプは吸収率も早いので、とっさの貧血には良いでしょう。

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