妊娠中、お腹が石やボールのように固くなって、キューっとしまったような感覚になることがあります。一般的には「お腹が張る」という表現をされますが、医学的には「子宮収縮」と言い、生理的なものであるかトラブルであるかの判断が必要なことがあります。

妊娠初期や中期の段階で、1日に何回もお腹が張る場合、経膣エコー(膣から超音波検査のプローブを入れて確認)で、子宮頸管の長さや形を確認し、切迫早産の予兆がないかを見ます。子宮頸管長が3cm未満になっていると、子宮が下がっているため切迫早産の可能性があり、入院や絶対安静となります。

 子宮は筋肉で、内側から子宮内膜、子宮筋層、漿膜と3つの層からなり、子宮筋層は平滑筋という筋肉です。妊娠4、5ヶ月頃からお腹の張りを感じる妊婦さんが多く、通常緩んだ状態の筋肉が刺激や体調などで緊張し、固くなり「子宮収縮」をおこします。

お腹が張る(子宮収縮)の原因と対処法は❔

子宮収縮の原因として、胎動、冷え、便秘、尿意、疲れ、立ちすぎ、歩きすぎ、ストレス、性行為、各種マッサージ、家事、緊張 などがあり、その場の状況で適宜対応した方が良いです。

簡単な対処法としては、お腹を手のひらで温め、指先で優しくマッサージすると治ることが多く、お手洗いに行って排尿をすると張りが消えることがあります。無意識に尿を我慢していると子宮の筋肉が反応しているので、子宮収縮となっていることもあります。それでもお腹がカチカチの時は、無理せず横になり、お腹を温めた方が良いです。

張りによって下腹部が強く痛くなる場合は、胎盤剥離の可能性もあるので、なるべく早めに産婦人科に行きましょう。横になった際に、腹部の左右がピシっと痛い場合は、子宮が引っ張られて伸びている最中なので、特に気にしなくて大丈夫ですが、気になるのであれば検診の際に相談しましょう。

お腹の張りの頻度は❔

妊娠中期で1日2〜3回、短時間のお腹の張りであれば胎児に影響はありませんが、1日10回以上、少々長い時間お腹が張るようであれば、張る回数が多く切迫早産の兆候の可能性もあります。

妊娠後期(28週~40週以降)になれば、張りは中期より頻繁になり、出産のための陣痛の準備が始まります。痛みを伴わなければ通常の生理症状の張りであることが多いです。

張り止めの薬 ルテオニン錠、ウテメリン錠(リトドリン塩酸塩錠)

頻繁にお腹が張る場合、産婦人科では張り止めとして、子宮平滑筋のβ2受容体を刺激するルテオニン錠(ジェネリック薬)やウテメリン錠を処方されることが多く、食後に飲み、子宮収縮を抑制し、切迫流産・早産の治療を行います。入院の場合は点滴で入れられることもありますが、自宅療養の場合は錠剤で様子を見ます。

張り止めを飲み続けると、子宮収縮の割合が減り、早産のリスクが落ち着きます。ただし、副作用で動悸やふらつきがありますので、様子を見ながら飲みましょう。

産婦人科を受診し、お腹の張りで相談する場合、アレルギーや持病がある場合はあわせて相談して治療を行いましょう。

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