元々高血圧ぎみの人はもとより、甘いものや味の濃いものなどをとりすぎるなどが原因で高血圧が見られ、食事の改善などをせずそのまま過ごすと「高血圧症候群」となる可能性があります。出産に際して、年間50人ほどの妊婦さんが亡くなっていますが、やはり高血圧であることが原因となるケースも多く、できるだけ早期に血圧を戻しておく体調管理をした方が良いです。

妊婦の死因は子宮内の大量出血が最も多く、血圧が上がっている人は出産当日の思わぬ脳出血も多いです。また、羊水が血液の中に入ることで羊水塞栓症になり内臓に影響が出ることが死因の半数を占めているので、血圧をコントロールすることは脳出血など最悪のケースを逃れるための準備となります。血圧が高く死に至る場合は、激しい頭痛や全身倦怠感、嘔吐などから始まり、産後も急速に悪化することもありますので、日頃の予防が大切です。

「高血圧症候群」は、妊娠20週~産後12週までに血圧が上がった状態をいい、タンパク尿などがなくても高血圧のみの場合は「妊娠高血圧症」、高血圧とタンパク尿の両方がある場合は「妊娠高血圧腎症」と言います。

「妊娠高血圧症」になりやすいのは、糖尿病、高血圧、腎臓の持病がある、肥満、35歳以上、家族に高血圧患者がいる、多胎妊娠、初産婦、以前の妊娠で妊娠高血圧症候群になったことがある、などがあり、妊娠中、急に高血圧の症状が見られるひともいます。「妊娠高血圧症」はけいれん発作や脳血管障害などを合併しやすく、妊娠32週未満で発症した場合は、重症化しやすいため注意が必要です。娠高血圧症」血圧の基準

「妊娠高血圧症」の血圧の基準

収縮期血圧(上)が140mmHg以上、または拡張期血圧(下)が90mmHg以上が高血圧とされ、プラス20づつでは、重篤な高血圧といえます。重篤になると、けいれん、脳出血、肺水腫、肝機能障害、HELLP症候群、腎機能障害、常位胎盤早期剝離、胎児発育不全、胎児機能不全などの症状が現れることもあり、胎児の命に関わることもあります。

わかりやすい症状は、手足が押して型がつくほどむくんだり、尿にタンパクが含まれることもあり、検診の尿検査でわかリます。

常位胎盤早期剥離とは、胎盤が赤ちゃんが生まれる前にはがれてしまう病気で、 
全妊婦の約1%に起こり、死亡率は5-10%、赤ちゃんの死亡率は30-50%です。

肺水腫とは、肺に水分がたまり、酸素が取り込みにくくなる病気です。 
呼吸困難が多く、発症した場合は利尿薬を使って肺の水分を減らしたり、酸素を投与します。 

脳卒中とは、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血などをまとめて脳卒中と言います。 妊娠高血圧症候群の方は妊娠中、分娩時に力んだり、産後に脳卒中を発症するケースが多く、死に直結しやすいです。

「妊娠高血圧症」の予防

塩分やお菓子など甘いものに注意をし、食べ過ぎも控え、食事を健康にし、常に安定したストレスのない生活を送ることが大事です。もし発症した場合は、食事療法から始め、重度になれば入院し、安静にします。よほどでない限り薬は出ないのですが、血圧を下げる薬を出してもらうこともありますし、痙攣を予防する点滴を入れることもあります。

お腹が張って、危険な場合は帝王切開や分娩誘発を行うこともありますが、緊急手術は避けたいですよね。出産すれば血圧は元に戻ることが多いので、なんとか出産まで乗り切りましょう。

つわりや胃のむかつきで水分を控えていると高血圧にもなりやすいので、常に水分摂取を心がけて過ごしましょう。

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