妊婦検診の際、はじめにおしるしとして尿をとり検査をします。試験紙法などのdipstick testや尿沈渣などの検査を経て、尿糖や尿蛋白を母子手帳に書いてくれますが、自覚症状がないけれども気にかけたいのが、尿蛋白の(+)(+2)表示です。(−)は正常の陰性、(+)は陽性、(±)は弱陽性、(+2)は強陽性で、(+2)はすでに重症の可能性があります。(+)がたまに出る場合、妊娠期は偽陽性の可能性もありますが、何度も続くと怪しいです。

蛋白は腎臓でしかろ過できないのですが、妊婦はホルモン変化や血液が増える関係で腎臓に負担がかかり、「尿蛋白」が出やすく、さらに高血圧が重なると「妊娠高血圧症」となり、重症化すると「加重型妊娠高血圧腎症」などになってしまいます。妊婦さんの10人に1人がそのリスクがあり、「妊娠高血圧症妊娠高血圧症候群(HDP)」「加重型妊娠高血圧腎症」などになれば、胎児の健康に関わるため、緊急入院をして帝王切開で人工早産をせざるを得ないということもあり、具体的には、肺浮腫、子かん、脳卒中、胎盤早期剥難を発症することなどが考えられ、早産のリスクは2倍以上、低体重児の出生率は3~5倍、 胎児死亡率2から3倍、仮死率2~6倍といわれています。出産後は治ることが多いですが、出産後も降圧剤を飲む人もいます。

妊娠高血圧症の初期症状としては、朝足がむくんでいたり、1週間の体重増加が500g以上、尿が少なく口がかわくことが増えると、腎臓がうまく機能していない可能性があります。

高血圧の基準は、最高血圧140mm/Hg以上、最低血圧90mm/Hg以上、頭痛 、目がチカチカする 、肩こり 、息切れ 、動悸など、わかりやすく症状が出ます。

「蛋白尿」とは、腎臓からろ過され、体内に再び戻るはずの蛋白質が、とりこまれずに一定量以上尿に排出されることを言い、尿に泡が混じっていることが多いです。蛋白質は血中の血清アルブミン、グロブリン、フィブリノゲン(繊維素原)に由来します。正常でも1日に40~120mgの蛋白がでますが、1日に150mg以上の場合はやや異常、3g以上は重症です。尿に150mg以上の糖が出る場合も要注意です。

その他、腎臓が排出する異物は、シュウ酸カルシウム・リン酸カルシウムなどがあり、腎臓の働きが低下し異物が尿路で結晶化し、強い痛みを伴うのが「結石」です。腎結石・膀胱結石・尿管結石などと呼ばれ、いきなり緊急入院することが多い病気です。

「妊娠中毒症候群」になった場合、安全かつ有効な治療法がなく、降圧薬を飲むことが多いのですが、保険適応がないものや胎児に副作用を及ぼすものもありますので、長期間の服用ができません。

そのため、安全な女性ホルモンを投与して血圧を下げることも可能ですが、多くの妊婦さんが帝王切開などで人工早産していることなどから、できれば「尿蛋白」「高血圧」の組み合わせは避けたいものですね。塩分を減らし、少しでも運動をし、身体を健康にすることが大事ですが、体質的なものもあるので、食事で改善しない場合は早めに医師と治療法を相談しておきましょう。

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