「流産」とは、妊娠22週未満に妊娠が中断することをいいます。状態によって「人工妊娠中絶」と 、「自然流産」があり、女性の3人に1人以上は生涯のうちに何らかの流産をするとされています 。また、皆さんが聞くよりも、妊娠判明後に流産していることは多く、パートナーや配偶者以外、誰にも打ち明けずに処置をしているケースも少なくありません。流産は妊娠初期(12週まで)が最も多く、7分の1の確率、80%が12週未満で起きますが、原因の多くは染色体の異常です。予防はできませんが、妊娠前に葉酸を十分に摂取しておくことで、母体の健康を保つことは可能性をあげる手段でもあります。

■稽留流産 (けいりゅうりゅうざん)

母子手帳をもらう前の初期に起こることが多く、4〜6週など妊娠確認後に胎児の心拍が停止するなどし、亡くなっていますが、出血などの自覚症状が少なく、下腹部の腹痛が伴うことがあります。婦人科診察の腟エコーで稽留流産と診断されるので驚きとショックが大きいですが、染色体異常がほとんどですのでなすすべはありません。自然に流れることもありますが、多くの場合、大量出血や感染のもとになりかねるので、日帰りまたは1泊入院で、子宮内容掻爬をします。

化学的流産(生化学的妊娠)

化学流産とも呼ばれ、妊娠反応が陽性に出ても、子宮内に胎嚢が見える前に妊娠が終了してしまう。月経とともに状態は、ほぼ正常化するので、流産手術(子宮内容掻爬(そうは))は必要ありません。

受精卵が子宮内に着床したあと、超音波検査で胎嚢を確認する前に流産することをいいます。妊娠はしたものの、胎嚢ができる前に成長が止まり、いつもの生理のような出血が起こったものです。

実は、妊活中の生理開始予定日に妊娠検査薬を使えば、かなりの高確率で妊娠反応は陽性になります。これは、市販の妊娠検査薬の感度が上がりすぎたことで、その直後に受精卵の遺伝子が原因で流産する運命の妊娠まで、陽性として判定できるようになってしまったためです。

化学的流産(生化学的妊娠)を防ぐ方法はなく、何の異常もないカップルの間でも実はよく起こっているとされています。変に期待をしないためにも、妊娠反応検査薬を使うのは生理開始予定日から1週間後くらいにしましょう。

■完全流産

胎児や組織など宮内容物がすべて自然に出てしまった状態で、血の塊のようなものが出てきます。 自然流産をした際に、出血、腹痛等は治まってきている場合が多く、残りがないかなど経過観察をします。場合によっては子宮収縮剤投与を追加し、人工的に全て流してしまします。

■不全流産

流産をしているが、胎児やその付属物は完全に排出されずに、子宮内に一部が残っている状態のことをいいます。子宮口は開いており、多めの出血や下腹部痛が続きます。全て出さないと次の生理に関わるので、日帰りで処置などをします。

■感染流産

風しんウイルス、麻しんウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、梅毒トレポネーマ、HIV:ヒト免疫不全ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス-1型)、クラミジア・トラコマチス、単純ヘルペスウイルス1型および2型、B群溶血性レンサ球菌、サイトメガロウイルス、トキソプラズマ、ヒトパルボウイルスB19、リステリア菌など、母体は感染のリスクが高く、胎児および生後の成長に大きく関わります。妊娠中の食事や妊娠前の予防接種などを心がけて予防できるものが多いので、一つづつ確認しておきましょう。

反復流産習慣流産

妊娠するが2 回以上の流産・死産、生後 1 週間以内に死亡する早期新生児死亡、22 週以前の流産を繰り返すことを反復流産といい、特に3回以上流産を繰り返す場合を「習慣流産」と言います。3回以上繰り返す場合は1%程度で、母体に何らかの疾患が隠れていることもあるので、血液検査、子宮異常、染色体異常、免疫機能やホルモンに異常がないかを検査し、流産予防の治療をします。 

■切迫流産

1度クリニックなどで妊娠が確認された後、妊娠 22 週未満に痛みや出血などのトラブルで受診した人は「 切迫流産 」という診断名がつきます。流産にならないように薬を処方したり、安静を指示されるなどしますが、完全な治療法などはありませんので、経過をみるようになります。
胎盤が剥がれかけており出血が見られる場合や、絨毛膜下血腫など、血腫が妊娠を妨げる場合があります。

■進行流産

流産が進行しており、経管が短く子宮口が開きかけ、出血している状態です。下腹部痛も見られます。安静と子宮収縮抑制剤、止血剤を投与し経過をみ、入院をすることもあります。

尚、妊娠22週〜37週未満は「早産」といい、NICUなおで呼吸や栄養の確保をし、大きくなるまで待ちます。

このように、様々な流産の可能性を乗り越えて赤ちゃんは奇跡的に生まれてきます。流産しないために何ができるかをママも周りの人もじっくり考え行動し、無理をしないように努めましょう。

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