中期以降の赤ちゃんは、子宮の中で頭を下にして成長(頭位)をしますが、中には立ったような姿勢で頭が上、足やお尻が下になっている赤ちゃんもおり、「逆子(骨盤位)」と言います。自然な状態では身体が大きくなるにつれ頭が重くなるので、逆子の状態が続いても出産が近づくと頭が下にきます。ただ、早期であれば「逆子体操」や「ツボ押し」、「はり治療」、「張り止めの薬」で治ることはありますが、32週を過ぎると、子宮が狭くなり羊水も増えないので、赤ちゃんも動きづらくなり、自然に戻ることは少なくなります。36週には約95〜97%の赤ちゃんが頭位になりますが、逆子のままの子もいるので、何とかして頭位に戻すか、帝王切開の決断をせざるを得ません。

逆子のまま出産するリスクは大きいので、基本的にはそのまま自然分娩はしません。逆子の場合、頭蓋内出血や新生児仮死、鎖骨や上腕骨の骨折、全身の神経マヒ、胎児の酸素不足、長時間分娩で母体の体力も奪われる、産後障害が出るなど、リスクは多岐にわたります。

逆子になる原因

原因となる要因は1つではありません。子宮に筋腫などがあって子宮が変形していたりなど子宮奇形があり狭くなっていたり、骨盤が狭い場合、前置胎盤や低置胎盤、多胎妊娠(双子など)、水頭症、羊水過多などがあると、逆子のリスクが高くなりますが、原因は不明であることもあり、その限りではありません。

外回転術とは❔外回転術の方法と外回転術のリスク

外回転術という手技があり、妊娠36週すぎに妊婦さんのお腹の上から医師や助産師が手を使って子宮の中にいる赤ちゃんを回すことで頭位に治します。帝王切開するか外回転術するかを選ぶことができ、外回転術の成功率は40~60% 程度。これで成功すれば自然分娩が可能です。一緒にへその緒が引っ張られたり、胎盤が圧追されたり、臍帯圧迫や胎盤が一部はがれるなどの合併症が起ることもあり、緊急帝王切開術を行わなければならなくなる確率が2~4% あるので、すぐに帝王切開ができる体制が整っている病院で、NICU(Neonatal Intensive Care Unit:新生児集中治療室)がある病院でしか行うことができません。回転術のリスクは、胎盤早期剥離 、児機能不全、臍帯絞扼、胎盤血腫、一過性の胎児心拍低下、母児間輸血症候群、胎児死亡、前期破水、陣痛発来などがあります。

外回転術を受けられる妊婦

  • 過去に帝王切開をしたことがない
  • 36週以降で胎児が充分に成長をしている
  • 児頭骨盤不均衡でない
  • 胎盤付着部位が正常
  • 羊水量が正常範囲内

外回転術の方法

  1. 妊婦にあおむけになってもらい、頭の方を下げ、下半身を高く上げます。
  2. おなかの張り止め薬や麻酔をかけ、子宮筋や筋肉の緊張を和らげて胎児を回転させやすくします。
  3. 医師または助産師が妊婦のおなかの上から手で胎児を回転させます。胎児のお尻を押し上げ、頭と尻を徐々にぐるっと回転させます。頭が骨盤の入り口に、お尻が子宮底に位置するまで行います。

妊婦体操

逆子を治す方法の一つとして、妊婦体操があります。外回転術などの前に妊婦体操で治るとなお良いでしょう。体操の姿勢はいくつかありますが、行いやすいものとして、⑴うつ伏せになって胸と膝を近づけ、お尻をぽこっと上げる胸膝位という姿勢があります。⑵仰向けになり、腰を浮かせて数秒づつ上げたり下げたりする方法もあり、両方行うと良いですが、体操は子宮収縮を促すこともあるので、逆子と言われた場合は医師と相談し体操を開始しましょう。

逆子が治りやすいツボ押し

有名なつぼとして「三陰交」と「至陰」があります。

「三陰交」は足の内くるぶしの頂点に小指を当て、上に4本目の指の位置にあり、押すとちょっと痛い場所が三陰交です。
三陰交を刺激すると血行がよくなり体の冷えを解消するので、胎児が回りやすくなるとされています。
血行をよくするという点では逆子ではない妊婦さんにもおすすめのツボです。

「至陰」は足の小指の外側にあるツボです。
至陰を刺激すると副腎皮質ホルモンの分泌が促進されて、逆子が治りやすくなると言われています。
他にも血行促進や妊婦の悩みである腰痛の緩和などの効果があるとされています。

様々な効果があるツボですが、体の奥から作用するため妊娠初期には刺激しないほうが良いです。
ツボ押しをするなら安定期に入った頃から行うのがおすすめ。
妊娠中は刺激しないほうがよいツボもありますので、無闇矢鱈に押すのはやめておきましょう。

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