赤ちゃんが無事に、トラブルなく産まれてきやすい正期産は、一般的に 妊娠37週0日~妊娠41週6日までとされています。37週以降ですと、帝王切開などで出産になってもその後のケアで育ちやすいですが、37週以前では未熟児となり、脳性麻痺、発達障害や呼吸障害などが出やすいため、NICU(新生児集中治療室)で看護することになります。
「早産」は妊娠37週より前に産まれてくることをいい、全妊娠の5%で、その原因は感染や高血圧、無理したことが多いといわれていますが、多胎の場合はその限りではありません。通常22週より前に赤ちゃんが出てくると、流産と言われますが、近年の医療では300g〜500g前後で産まれてくる子もおり、高度医療によって3000gほどの、他の赤ちゃんと変わらないくらいまでに成長できるケースも珍しくありません。

 「切迫早産」は、早産になる前の状態で、母親や医師が早く気付けば気づくほど、適正な処置をすることができます。症状としてはお腹が張る状態(子宮収縮)が1日10回、または1時間の間に何回もなど頻繁になり、下腹部が歩くのが辛いほど痛くなります。気づかないうちに羊水が溢れ落ち破水となり、羊水が減り、赤ちゃんは圧迫され、子宮口が開き、赤ちゃんがいつ出てきてもおかしくない状況になります。この羊水の漏れに気付けば良いのですが、お風呂場などで漏れていても妊婦さんによっては気づかないことも多く、対処が遅くなったり、日曜日など産婦人科が休診などで検診が遅くなると、赤ちゃんの命に関わります。また、羊水に血が混じっていれば、容易に気づくことができます。

破水がなくても、お腹の張りが多い人は、超音波検査で子宮口を確認し、子宮頸管長が3㎝以下などになっていたり、子宮口が開きかかっていれば、切迫早産と診断され、自宅での絶対安静か、オペをするために当日入院をします。

切迫早産や早産の原因は❔

■経産婦では、過去の妊娠で早産になったことがある場合、体質として早産になりやすい傾向がありますが、心配しすぎることはストレスに繋がるので、まずは日頃の生活で安静にし、無理をせずに妊婦生活をゆったりとした気持ちで過ごすことが大切です。

■「子宮頸管無力症」といい、子宮口が開く体質の方がいます。初期の検診でわかるので、赤ちゃんがおりてこないように、予め子宮頸管縫縮術をし、子宮口をしばることもあります。
■前回妊娠し、出産してから間が空いてなさすぎると早産になりやすいこともわかっています。
■喫煙や飲酒も早産の原因となります。
■BMIが18.5未満の痩せすぎや太り過ぎ体質も安産になりにくい場合があるので、妊婦生活の中で徐々にコントロールをしていきましょう。
■立ち仕事や重たいものを持つなど、無理のある労働も妊婦には負荷がかかりますので、妊娠を伝えた上で交代など配慮してもらいましょう。
■妊娠30週未満に多いのが、細菌性腟症や絨毛膜羊膜炎など、細菌感染により早産になるケースが多いです。常に清潔に保ちましょう。
■双子や三つ子などの多胎妊娠は子宮が大きくなりやすいので、仕事は早めに産休申請をしましょう。多胎の場合は、子供が大きくなりにくいこともあるので、帝王切開で早く出すことも多いです。
■HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染により、子宮がん検査で引っかかり、軽度異形成から中度〜高度異形成に進み、子宮頸癌の手前または子宮頸癌ステージが進んだ場合、子宮頸部円錐切除術を行いますが、円錐切除術を過去に行った妊婦さんは、子宮口がやや薄くなっているので、早産になることがあるとも言われています。

■重複子宮、双角子宮、中隔子宮、弓状子宮、単角子宮など、奇形子宮であると、切迫早産の可能性はやや高くなりますが、妊娠はできることが多いので、医師と相談しながら妊娠生活を送りましょう。

■前置胎盤といい、胎盤が子宮口をふさいでいる場合は帝王切開となるので、人工早産のケースが多くなります。

■常位胎盤早期剥離では、胎盤が子宮の壁からはがれてしまうので、人工早産となりますが、少し剥がれかけている段階では、安静にしていれば戻ることもあるので様子を見て判断をされます。

妊婦さんは非常にデリケートなので、自己判断せずに、身体を第一に考えて行動しましょう。また、切迫早産の兆候が少しでもあれば、その旨をかかりつけの産婦人科に相談し、できるだけ早く処置をしてもらいましょう。救える命は多いです。

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