安定期に入った後の妊娠22週〜36週に強い腹痛や頻繁な子宮収縮(お腹が固くなる)、破水の状態になると、検査をし子宮頸管の長さが3センチ以下、または子宮頸管開大が2cm以上となっていると、早産の予兆があり、これを「切迫早産」といい治療を開始します。軽度の場合は自宅安静ですが、微熱が出ることも多く、下腹部痛もある中、当日入院となるケースも多いので、妊婦さんは日頃からいつ入院しても良い準備と家族との相談をしておきましょう。

軽度から行くと、順番として、自宅などで安静→子宮収縮抑制剤の短期投与(内服or点滴)→抗生剤による膣洗浄や漢方療法→子宮頸管縫縮術で入院 となりますので、極力安静時点で張りや出血がなくなるのが良いです。

「切迫早産」に使用する薬

「切迫早産」の具体的治療は、子宮口が開かないように、子宮収縮を抑える目的で「ウテメリン錠」などの子宮収縮抑制薬(はりどめ)を使用したり、細菌による感染があれば、抗菌薬を使用するなど、症状に応じて「副腎皮質ステロイド」、「プロジェステロン」、「硫酸マグネシウム(マグセント)」、「抗生物質」や「子宮収縮抑制薬」の錠剤や点滴を組み合わせて使用します。近年では研究の結果、安易に塩酸リトドリン錠を出すことに疑問もあるため、以前は1週間投与していたところも多かったのですが、子宮収縮抑制薬を2日以内と短期限定で使う医療施設も増えました。「副腎皮質ステロイド」は、妊娠34週前の胎児の臓器を作るのを助け、妊娠32週前は、「硫酸マグネシウム」は脳性麻痺の危険性を減少させるとされていますので、医師と相談しましょう。

妊娠34週以前の場合で性器感染症,尿路感染症,性感染症,呼吸器感染症が疑われる場合、妊婦さんの状態により、ペニシリン系,セフェム系,マクロライド系,クリンダマイシンなどの抗菌薬を投与し、赤ちゃんの感染を抑え様子をみます。妊娠34週以降であれば、赤ちゃんは出産しても自分で呼吸できる可能性が高いので、帝王切開などで出産し、集中治療室で治療を行います。

子宮頸管無力症の妊婦の子宮頸管縫縮術

「子宮頸管無力症」など、子宮口が開きやすい体質の方や双子を妊娠の方は、流産や早産になる前に、予防で子宮頸管(子宮の出口)をしばることがありますし、定期検査で切迫早産が判明した人は、治療として子宮頸管縫縮術を行います。施術は12〜14週で行うことが多く、子宮口の外側を切開せずに縫う「マクドナルド法」がよく取り入れられており、外に縫う長さがない場合などは、子宮口の内側を縛る「シロッカー法」などを行います。抜糸は体調が落ち着いて、正産期に近づいてから行いますが、陣痛が来る前の32週頃が多いですが、自然に溶ける糸を使うこともあります。

子宮頸管縫縮術や切迫早産の際の手術は、手術と術後入院実費、1週間目安で約40〜50万円ですので、国民健康保険の高額医療制度や会社で保険に加入している場合は保険を利用しましょう。

切迫早産の入院

辛い下腹部痛や、出血、破水が重複する場合、殆どは即入院となり、平均で1週間の入院、妊娠高血圧症候群など併発の妊婦さんでは、1ヶ月〜長い人では出産まで入院することもあります。

妊娠37週の正期産を目指し、妊娠を継続できるように、病院では採血、採尿、安静治療 、薬物治療、 持続点滴、膣洗浄、採血、手術などを行い、定期的な内診と超音波エコー検査、胎児心拍の確認などで経過観察をします。破水がある場合は、羊水検査 (チェックプロム検査) をして詳しい状況を見ます。

入院中の食事は、食事を採れる場合は妊産婦に合わせた食事が出ますが、つわりで食べることもできない場合は点滴などでまかないます。

自宅療養の際でも、お風呂の回数は減らしシャワーの方が好ましいですが、入院中も殆どが負担の少ないシャワーとなり、入浴の制限は考慮しておく必要があります。

妊娠初期から安静にし、入院など切迫流産を避けるのが一番良いので、無理をしないようにし、また、切迫早産の兆候が少しでもあればなるべく早く医師に相談しましょう。

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